クリスマスのメニュー(大人数用)
ご無沙汰しております。皆様どのようなクリスマスを過ごされましたか?
イギリス在住の方のツイートやブログを見ていると、それぞれのご家庭で豪華なクリスマス料理が並べられていて、どれもが美味しそう。ターキーが主流のようですが、ローストビーフのご家庭も多いようですね。それをローストしたポテトやパースニップ、芽キャベツ、ニンジン、ソーセージをベーコンで巻いたものなどと一緒にいただくのがメイン料理の定番。
では、昔はクリスマスにどんな料理を食べていたのか?
大人数用のクリスマスディナーのメニューが掲載されていたので、見てみました。
・モック タートル スープ:牛すね肉や仔牛の頭で出汁を取って作った、海亀のスープに似せたもの。
・ピエモンテ風ライス スープ:レシピが掲載されていないため詳細不明ですが、リゾットのようなもの?
・ターボット(イシビラメ)とロブスター ソース:ソースには雌ロブスターとその卵巣、クリーム、バターを使用したらしい。
・鯉のファルシ:マッシュルーム、玉ねぎ、ゆで卵、鯉の卵(あれば)を詰め、油紙に包んで焼いたもの。
・ミラノ風ファウル(家禽):鳥肉にパルメザンチーズを混ぜたパン粉をつけて揚げ、トマトソースを添えたもの。
・小さいハム。
・七面鳥のローストとソーセージ:やはり、メインはこれ?
・鳩の煮込み料理。
・鴨のラグー:ローストした鴨を玉ねぎ、ハーブ、ビーフグレイビーで煮込んだもの。
・バロン・オブ・ビーフ:牛の背骨のところで切らない2枚のサーロイン。
・ポーク カツレツとトマトソース。
・ラム カツレツ。
<セカンドコース>
・ミンスパイ。
・パンチ ゼリー。
・クリスマス プディング。
・メレンゲ。
・ヨーク スフレ:卵、砂糖、レモン汁、バターを混ぜたものをパイ生地を敷いた皿に入れて焼いたもの。
・ガトー ド ポム:煮リンゴを型に詰めて固めたお菓子。
・シャルロット リュス。
・ホロホロ鳥:何故ここで登場するのか?謎です。
やはり、メインは肉料理というか、ほぼ肉しかない(笑)。野菜がありませんね…。あとは魚類と甘いもの。
この中で、今でも多くの家庭でお馴染みなのはターキー、ミンスパイ、クリスマスプディングでしょうか。ヨーロッパ(特に東欧)では今でも鯉を食べる習慣がありますが、イギリスでも鯉が食されていたようですね。
クリスマスプディング(3)とミンスパイ(4)
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海亀のスープは高級品であったため、当時は他の安い食材で海亀スープもどきを作ったそうです。そういえば、『不思議の国のアリス』に Mock Turtle が出てきますが、頭が牛で体が亀なのは、こういう理由だったのですね。
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ミンスパイやプディングについて書こうと思っていたのですが、クリスマスが終わってしまったので、また別の機会に…。
今年も残すところあと2日となってしまいました。
皆様、良いお年をお迎えください。
レシピの詳細はこちらの本に掲載されています。
甦った本
2か月ほど前に依頼した本の修復作業が終わったので、先日受け取りに行ってきました。とても美しく仕上げていただいて、感動しています。
修復前の写真を見返して、こんなにボロボロだったのか!とちょっと驚いたほど。
表紙に使われている緑色の生地は以前にフランスで購入されたシルクだそうで、写真ではわかりにくいですが、つややかな光沢があり、何とも心地よい手触りです。ついつい撫でてしまう。手垢がつかないよう、あまり触りすぎないように気をつけないと…。
修復内容についても、色々と説明してもらえました。
まず背表紙ですが、きれいに剝がして新しく赤い布地に貼り付けられています。分断されていましたが、ぴったりと張り合わされていて、触っても全然継ぎ目がわからないほどスムースに仕上げられています。
こちらが元の表紙。赤い方はごく薄い皮革のようです。緑の方は、皮のように見えるように加工された布。こんなにきれいに剥がせるものなんですね。
本のページは、元はステープラーで留められてたのですが、それを全部外し、リネンの糸で綴じなおしてあります。よく見ると糸が通っている箇所がわかります。730ページある本を手作業で綴じるのはけっこう大変な作業ではないかと思います。
前にお会いしたときに、この仕事は体力が要るとおっしゃっていたのが分かる気がします。
さらに、赤いリボンでかわいい栞もつけてくれました。それから、何と呼ぶのかわかりませんが、背表紙の内側の端の部分に、赤と緑の装飾もついています。ちょっと高級な感じに見える。
しっかりと綴じられているので、これで安心して開くことができます。
前よりもさらに、この本に愛着が湧いてきました。
メグさんのお話を伺っていると、製本技術だけでなく、紙や素材についてもとても知識豊富な方だというのがわかります。どの年代にどのような素材が使われていたかなど、どんどん話に出てくるのが本当にすごい。今、6カ月先まで仕事が埋まっているというのも納得です。
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大の読書家でもあり、本そのものを愛されているメグさんの「無人島に持って行きたい3冊」は、
1.『白鯨』
2.『罪と罰』
3.『アンナ・カレーニナ』
だそうです。特に『罪と罰』は読むと人生が変わったほどなので、絶対に読んでほしいとのこと。どれも読んでないよ…(汗)。夫も『白鯨』が一押しなので二人は盛り上がっていたけれど、すごく分厚いよね、あれ…。来年の目標にしようかな。
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なんと、メグさんは急遽引っ越すことになったそうで、引っ越しの段ボールに囲まれながらお話を伺っていました(笑)。新しいお家で本格的なスタジオを作る予定だそう。
並々ならぬ知識と技術を要するお仕事ですが、けっこう需要はあるようです。これからちょっと変わったキャリアを築きたいという方、いかがでしょうか?
メグさんのサイトはこちらから↓
12月に入ったので、クリスマスのレシピを読んでいきたいと思っています。
今ちょっと本業が忙しいので、どうなるかわかりませんが…。
それでは、また次回。
お読みいただき、ありがとうございました。
10月が旬の食材
早いもので、もう10月が終わってしまいそうです。毎月「The Cook's Calendar」の章から旬の食材について書く予定だったのが、すっかり遅くなってしまいました(汗)。
9月の食材と同じものが多いですが、トリュフやアーモンドなど秋の味覚もありました。
<肉類>
doe venison (女鹿)、dotterels (コバシチドリ)、phesant (キジ)、snipe (シギ)、widgeon (ヒドリガモ)、woodcock (ヤマシギ)
dory (マトウダイ)、gudgeon (タイリクスナモグリ)、halibut (オヒョウ)、salmon trout (ウミマス)、smelt (キュウリウオ科の各種の食用魚)
savoy (チリメンキャベツ)、tomato (トマト)、truffle (トリュフ)、winter spinatch (ほうれん草)
almond (アーモンド)、apple (リンゴ、品種: Golden pippin, Royal russet)、black and white bullace (野生化、または半分栽培化されたユーラシアの小型のスモモ)、peach (桃、品種: Old Newington)、October peach (10月の桃)、pear (洋梨、品種: Beurre、 Chaumontelle、Bon Chretien、Swan's Egg)、service (ナナカマド)
9月のリストから削除されたもの
<肉類>
buck venison (牡鹿)、leveret (子ウサギ)、plover (千鳥)、turkey poult (七面鳥の若鳥)
<魚類>
flounder (ヒラメ/カレイ)、gurnet (ほうぼう)、mullet (ボラ)、plaice (プレイス)
<野菜類>
bean (豆類)、carrot (人参)、cucumber (きゅうり)、lettuce (レタス)、mushroom (マッシュルーム)
<果物類>
apple (White caville)、cherry (チェリー、Morella)、pinapple (パイナップル)、plum (プラム)
野菜や果物は現代と似たような感じですが、やっぱり肉類と魚類には聞いたことがない (そして今後も食べる機会はないと思われる) ものが多いです。肉類では特に野鳥類が増えているところに、狩猟の季節でもある秋が感じられます。
洋梨の種類も色々とあったようなのが気になります。今では普通のスーパーマーケットでは conference 一択みたいな感じですがね。Swan's Egg (白鳥の卵) を写真検索してみたら、その名のとおり丸い形の梨の写真が出てきました。何だか可愛い。
それから、今月が特に旬の食材の中に、medler (セイヨウカリン) があるのですが、食べたことがないし、売っているのも見たことがない気がします。写真を見る限り、あまり食欲をそそられませんが、どんな味なのでしょう? 生食よりもデザート向けみたいです。
その他には、「トリュフ」とさりげなく書かれていますが、この時代でもトリュフは高級品だったのかどうかも気になるところです。フランスやイタリアから輸入されていたのでしょうかね? 本が戻ってきたらレシピが載っていないか探してみます。
それでは、また次回。
(続) 秋のディナーの献立(10~12人用)
前回の投稿からだいぶ日が経ってしまいましたが(汗)、秋の献立の続きについて見てみたいと思います。今回はデザート編です。
まずは、Milan Souffle (ミラノ風スフレ)。これは、現在でも Soufflé Milanaise と呼ばれている冷たいレモンのスフレのようですね。スフレは難易度が高そうなので作ったことがないのですが、これはオーブンで焼くタイプではないのでしぼんでしまう心配がないし、作れそうな気がします。
<材料>
レモン4個、卵6個、泡立てたクリーム1/2パイント、砂糖2オンス、アイシングラス1オンス
<作り方>
1. レモン4個の皮に砂糖を擦り込み、卵黄6個に加えてカスタードを作り、レモン汁を加える。
2. 冷めたら1/2パイント弱の泡立てたクリームと、1オンスのアイシングラスを加えて冷やす。
3. 卵白をしっかりと泡立て、泡立てたクリームと一緒にスフレの周りに添える。
挿絵によると、これが Milan Souffle らしい。
レモンのムースかババロアみたいな感じでしょうか。卵白には砂糖も何も入れず、そのまま添えられていますね。イギリスで生卵を食べても安全と言われるようになったのはわりと最近のことなのですが、当時は大丈夫だったのか気になります。おそらく鶏を飼ったりしていて新鮮な卵が入手しやすかったのかもしれないですね(あくまでも想像ですが)。
次は、College Pudding です。イギリスには「プディング」と名の付くお菓子がたくさんありますが、これは今まで聞いたことがありませんでした。一般的にプディングは蒸すことが多いのですが、このレシピはラードで揚げています。こういうプディングもあったのですね。
・パン粉1/4ポンド
・ナポリビスケット1/4ポンド - 細かく砕く
・ビーフスエット (牛肉の脂) 1/4ポンド - 細かく刻む
・オレンジ (またはレモン) ピール2オンス - 細切りにする
・カラント1/4ポンド - 洗って乾かす
・砂糖2オンス - 細かく砕く
・卵黄4個分 - 泡立てる
1. すべての材料をペースト状になるまでよく混ぜ合わせる。
2. 平らに整えて切り分け、弱火でゆっくり茶色になるまでラードで揚げ、ナプキンに取り出す。
3. 蓋つきの深皿に入れソースをかける。
単に「ソース」としか書いていないので、どんなソースなのかよくわからないですが、プディングといえば、どうしてもカスタードを思い浮かべてしまいます。
最後は、Stone Cream です。え、何?石のクリーム?と思ったら、この場合の stone はおそらくフルーツの種なのではないかと思います。
・アプリコットまたはプラムのプレザーブ1ポット分
・アイシングラス1/2オンス
・クリーム1パイント
・レモン1個
・白砂糖小さじ2ぐらい
1. ガラスの深皿の底にアプリコットまたはプラムを1インチほど敷き詰める。
2. アイシングラスを少量の水で溶いて濾し、クリームに加える。
3. おろしたレモンの皮と砂糖を好みに応じて加える。
4. 1分間沸騰させ、注ぎ口のあるジャグに移す。
5. 冷めたら (固まらない程度に) レモン汁を加える。
6. 1 の上に注ぎ入れ、1晩おく。
7. ラタフィア (ビスケット?) を数枚のせる。
※アプリコットの代わりにジャムを使っても良い。アプリコットの代用としては wine sours が一番良い。
(https://garden.org/plants/view/711725/Culinary-Plum-Prunus-domestica-subsp-insititia-Winesour/)
偶然選んだだけかもしれませんが、アイシングラスを使ったデザートが多いような気がします。現在のイギリス菓子ではあまりゼラチンを使うお菓子は無いように思うのですが、どうなんでしょう~?
プレザーブ1ポット分がどれくらいの量なのかよくわからないけど、
こんな右端のような容器に入っていたのかな?
最近また Bake Off が始まったので、頭の中はデザートでいっぱいです(笑)。
<イギリスのお菓子にご興味のある方は、ぜひこちらもどうぞ。>
秋のディナーの献立(10~12人用)
すっかりご無沙汰しています。たいして何もしていないのに、気がつけばもう9月が終わってしまいそうで、ちょっと焦っています。
さて、今日は秋の献立を見てみたいと思います。この本では季節ごとにディナーやランチの献立が紹介されています。平常のファミリーディナーから大人数のパーティ用メニューまで、なかなか凝った献立が考えられています。
マリガトーニースープ
鮭
開いたウナギ(?)
鹿肉のホーンチ(もも肉?)
カレー風味の卵 クロメスキ
仔牛のフリカッセ
ー セカンドコース ー
ミラノスフレ
パイナップルフリッター レモンゼリー
ストーンクリーム カレッジプディング
パートリッジ
"spitchcocked" は縦に開いて料理するという意味なので、蒲焼きかと思いましたが、違いました...。
1. ウナギ2、3匹の皮をはぎ、腹側から開いてきれいに洗う。
2. 背骨を取り除き、3~4インチの長さに切る
3. 刻んだパセリ、セージ少々、塩コショウ、細かく砕いたメース、温めたバター少量、レモン汁半個分を両側にまぶす
4. 卵とパン粉をつけ、油で揚げる
5. 円状に並べ、中心にピカンテソースを添えて供する
美味しそう…(ゴクリ)。蒲焼きではなく、フライでした。piquante (picante?) ソースはトマトベースの辛いソースのようです。実はけっこうスパイスの効いた料理が食べられていたのかもしれないですね。
次に、クロメスキという料理ですが、これは一口サイズの小さいコロッケのことだそうです。たとえば、こちら↓
けっこう手間がかかりそう。牡蠣と肉を組み合わせるというのが意外な気がしました。貝類と肉を組み合わせた料理ってあまりないように思うのですが、私が知らないだけでしょうか?
次回は、セカンドコースのレシピについて見てみようと思います。
鹿肉のホーンチの挿絵があった (6)。
とてもグロいのでページ全体を載せられません…
本を修復してもらうことになりました
本題から外れますが、実は本を修復してもらうことになり、先日ブックバインダーの方にお会いして預けてきました。今回は、その時の話です。
丁寧に扱っていたつもりなんですが、なんと本の背表紙が半分はがれてしまいました。見開きにしたまま置いていたのが良くなかったようです (反省)。
すでに外れてしまったページも数枚あり、背表紙も本体から取れかけていたので、以前から修復してもらった方がいいかなと考えてはいました。そこで、8月の私の誕生日プレゼントとして、夫がブックバインダーへ見積もりを依頼し、手配してくれることになりました。
そんな訳で先週、サリー州にあるブックバインダーさんのご自宅兼ワークショップを訪問してきました。
☆
可愛らしいコテージのドアを開けて私たちを出迎えてくれたのは、ブックアーティストとして25年以上ご活躍されている、メグ・グリーンさん。オーダーメイドでの装丁やアート作品としての製本を手掛けらるほか、古書の修復も請け負われています。
早速ワークショップに案内され、本を手渡すと、メグさんが「あら、これと同じ本のもっと古い版を最近修復したところよ!」と言ってご自分のウェブサイトを見せてくれました。えええ!? すごい偶然に舞い上がる私たち。いくつかのブックバインダーの候補から、この方を選んで正解だった!
そして、さらに本を注意深ーく見ながら、色々と説明してくれたので、この本についてもう少し詳しく知ることができました。
- 背表紙のフォントが前に修復した版 (おそらく1871年版?) に比べるとモダンな感じなので、この本は19世紀の終わりの方か、もしかすると20世紀初めの出版と思われる。
- 出版年が記載されていないのは「常に重版されている状態だったから」だそう。当時は大ベストセラーだった本では、よくあることだったらしい。
- 質感から、gelatinised paper (ゼラチンでコートされた紙) と思われる。よって、印字がより繊細でくっきりとしている (つまり、思っているよりも新しい本かもしれない)。
- 背表紙はごく薄い革、表紙は厚紙にエンボス加工した薄紙を張って皮っぽくしている。
- 糊は動物由来のため、その成分から紙が浸食されている。表紙は表面の紙をはがして新しい厚紙に貼りなおさないといけないと思う。
- 本を綴じるのに糸ではなくリネンとステープルが使われているので錆が紙を侵食している。
…などなど。紙の種類から製本技術、歴史的背景にいたるまで幅広い専門知識をお持ちの方で、詳しく説明してくださいました。話を聞きながら、どのように作業するかを相談し、「できるだけオリジナルの部分を残しながら修復し、ステープルは取り外して絹糸で綴じる」ということになりました。とてもお忙しいようで、スケジュールがクリスマスまで埋まっているけれども、なんとか11月中ぐらいには仕上げていただけるとのことでした。
メグさんの作品にご関心のある方は、こちらからご覧いただけます。
Book Arts and Artist Books with Some Odd Pages
"REPAIRS" のページには、修復されたこの本より古い版の写真もあります。
Book Repairs, leather binding, book restoration and rebinding
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以前はワークショップも開催されていたそうですが、最近は忙しくて無理なんだそう。予約リストがちらっと見えましたが、依頼はとても多いみたいです。でも、目が疲れるし、けっこう体力もいるので、年を取ると作業を続けるのが難しくなる、だんだんとブックバインダーの数も減っている、とおっしゃっていました。残念なことです。
ご自宅のいたるところに本棚があり、読書家でもあるのが伺えました。本を読むだけでなく、本そのものを愛されている方なのだなあ、と。どんな風に仕上げていただけるのか、楽しみにしています。
というわけで、本が手元にないのですが、写真をたくさん撮っておいたので当分はそれを元にブログを更新していく予定です。
9月が旬の食材
9月に入り、すっかり秋らしくなってきました。というよりも、秋を通り越して冬になりそうな気配の肌寒い天気が続いています。じめじめして寒い。そろそろ冬物を出さなければ…。
さて、今回は「The Cook's Calendar」という章を見てみます。ここには毎月の旬の食材が分類ごとに記載されています。9月の食材を見ると、野菜や果物には現在でもお馴染みのものが並んでいますが、肉類と魚類には普通のスーパーでは見かけないものが多いようです。特にゲーム類ですが、でもまあ、ハンティングに出掛ける人々の間では、今でも普通に食されているのかもしれませんね (そんな上流階級の知り合いはいないのでよくわかりませんが)。
9月の食材。肉、魚、野菜、果物に分類された毎月の旬の食材が記載されている。
これは珍しいかなと思ったものや、単語を知らなかったものを挙げてみます。
<肉類>
・buck venison 牡鹿(牡鹿は7~9月、女鹿 (doe vesnison) は10~1月の食材と分けられているところが興味深い)
・green geese ガチョウのひな
・lark 雲雀
・leveret 子ウサギ
・moor game (red grouse (アカライチョウ) や ptarmigan (ターミガン) など)
・plover 千鳥
・teal コガモ
・wheatear サバクヒタキ
<魚類>
・barbel バーベル (ヨーロッパ産のコイ科の淡水魚)
・conger eel 穴子
・dace デイス (コイ科の魚)
・flounder ヒラメ、カレイなど
・gurnet ほうぼう
・perch パーチ
・pike パイク
・tench テンチ
・whiting ホワイティング
<果物>
・filbert ヘーゼルナッツ
・medlar セイヨウカリン
デイス、パーチ、テンチ…? 私が知らないだけかもしれませんが、聞いたことのない魚が多いです。今よりも魚の種類が豊富だったようですね。実際にこれらの魚がどれくらいの頻度で食されていたのか、すべてが入手可能だったのか、それとも「珍味」だったのか、など色々と考えてしまいます。ちなみに、今月が特に旬という dace のレシピは、目次を見る限りでは載っていないようです。パーチ、パイク、テンチはいくつかレシピがありました。
魚料理の挿絵。なかなか豪快な盛り付けだったよう。
今月が特に旬なのは、デイス、牡蠣、パーチ、パイク、雷鳥、野ウサギ、moor game、ヤマウズラ、鴨、ぶどう、パイナップル、だそうです。
そういえば、Audley End House を訪れたときに、ぶどう栽培用の温室があったのを思い出しました。大きなお屋敷では、こんな風に自家栽培していたのでしょうね。
Audley End House の温室。根は外に植えてあるのに注目(筆者撮影)。
お読みいただき、ありがとうございました。
それでは、また次回!