ヴィクトリア時代の台所~19世紀英国の料理本を読む~

19世紀に書かれたイギリス料理の本を拾い読みしながら、当時の暮らしに思いを巡らせてみるブログです。

甦った本

2か月ほど前に依頼した本の修復作業が終わったので、先日受け取りに行ってきました。とても美しく仕上げていただいて、感動しています。

修復前の写真を見返して、こんなにボロボロだったのか!とちょっと驚いたほど。

表紙に使われている緑色の生地は以前にフランスで購入されたシルクだそうで、写真ではわかりにくいですが、つややかな光沢があり、何とも心地よい手触りです。ついつい撫でてしまう。手垢がつかないよう、あまり触りすぎないように気をつけないと…。

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修復後と修復前の本

修復内容についても、色々と説明してもらえました。

まず背表紙ですが、きれいに剝がして新しく赤い布地に貼り付けられています。分断されていましたが、ぴったりと張り合わされていて、触っても全然継ぎ目がわからないほどスムースに仕上げられています。

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こちらが元の表紙。赤い方はごく薄い皮革のようです。緑の方は、皮のように見えるように加工された布。こんなにきれいに剥がせるものなんですね。

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本のページは、元はステープラーで留められてたのですが、それを全部外し、リネンの糸で綴じなおしてあります。よく見ると糸が通っている箇所がわかります。730ページある本を手作業で綴じるのはけっこう大変な作業ではないかと思います。

前にお会いしたときに、この仕事は体力が要るとおっしゃっていたのが分かる気がします。

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さらに、赤いリボンでかわいい栞もつけてくれました。それから、何と呼ぶのかわかりませんが、背表紙の内側の端の部分に、赤と緑の装飾もついています。ちょっと高級な感じに見える。

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しっかりと綴じられているので、これで安心して開くことができます。
前よりもさらに、この本に愛着が湧いてきました。

メグさんのお話を伺っていると、製本技術だけでなく、紙や素材についてもとても知識豊富な方だというのがわかります。どの年代にどのような素材が使われていたかなど、どんどん話に出てくるのが本当にすごい。今、6カ月先まで仕事が埋まっているというのも納得です。

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大の読書家でもあり、本そのものを愛されているメグさんの「無人島に持って行きたい3冊」は、

1.『白鯨』
2.『罪と罰』
3.『アンナ・カレーニナ』

だそうです。特に『罪と罰』は読むと人生が変わったほどなので、絶対に読んでほしいとのこと。どれも読んでないよ…(汗)。夫も『白鯨』が一押しなので二人は盛り上がっていたけれど、すごく分厚いよね、あれ…。来年の目標にしようかな。

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なんと、メグさんは急遽引っ越すことになったそうで、引っ越しの段ボールに囲まれながらお話を伺っていました(笑)。新しいお家で本格的なスタジオを作る予定だそう。

並々ならぬ知識と技術を要するお仕事ですが、けっこう需要はあるようです。これからちょっと変わったキャリアを築きたいという方、いかがでしょうか? 

メグさんのサイトはこちらから↓

someoddpages.com

12月に入ったので、クリスマスのレシピを読んでいきたいと思っています。
今ちょっと本業が忙しいので、どうなるかわかりませんが…。

それでは、また次回。

お読みいただき、ありがとうございました。