ヴィクトリア時代の台所~19世紀英国の料理本を読む~

19世紀に書かれたイギリス料理の本を拾い読みしながら、当時の暮らしに思いを巡らせてみるブログです。

クリスマスのメニュー(大人数用)

ご無沙汰しております。皆様どのようなクリスマスを過ごされましたか?

イギリス在住の方のツイートやブログを見ていると、それぞれのご家庭で豪華なクリスマス料理が並べられていて、どれもが美味しそう。ターキーが主流のようですが、ローストビーフのご家庭も多いようですね。それをローストしたポテトやパースニップ、芽キャベツ、ニンジン、ソーセージをベーコンで巻いたものなどと一緒にいただくのがメイン料理の定番。

では、昔はクリスマスにどんな料理を食べていたのか?
大人数用のクリスマスディナーのメニューが掲載されていたので、見てみました。

クリスマスディナーのメニュー

モック タートル スープ:牛すね肉や仔牛の頭で出汁を取って作った、海亀のスープに似せたもの。
ピエモンテ風ライス スープ:レシピが掲載されていないため詳細不明ですが、リゾットのようなもの?
ターボット(イシビラメ)とロブスター ソース:ソースには雌ロブスターとその卵巣、クリーム、バターを使用したらしい。
鯉のファルシ:マッシュルーム、玉ねぎ、ゆで卵、鯉の卵(あれば)を詰め、油紙に包んで焼いたもの。
ミラノ風ファウル(家禽):鳥肉にパルメザンチーズを混ぜたパン粉をつけて揚げ、トマトソースを添えたもの。
小さいハム
七面鳥のローストとソーセージ:やはり、メインはこれ?
鳩の煮込み料理
鴨のラグー:ローストした鴨を玉ねぎ、ハーブ、ビーフグレイビーで煮込んだもの。
バロン・オブ・ビーフ:牛の背骨のところで切らない2枚のサーロイン。
ポーク カツレツとトマトソース
ラム カツレツ

<セカンドコース>
ミンスパイ
パンチ ゼリー
クリスマス プディング
メレンゲ
ヨーク スフレ:卵、砂糖、レモン汁、バターを混ぜたものをパイ生地を敷いた皿に入れて焼いたもの。
ガトー ド ポム:煮リンゴを型に詰めて固めたお菓子。
シャルロット リュス
ホロホロ鳥:何故ここで登場するのか?謎です。

やはり、メインは肉料理というか、ほぼ肉しかない(笑)。野菜がありませんね…。あとは魚類と甘いもの。
この中で、今でも多くの家庭でお馴染みなのはターキー、ミンスパイ、クリスマスプディングでしょうか。ヨーロッパ(特に東欧)では今でも鯉を食べる習慣がありますが、イギリスでも鯉が食されていたようですね。

 

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クリスマスプディング(3)とミンスパイ(4)

海亀のスープは高級品であったため、当時は他の安い食材で海亀スープもどきを作ったそうです。そういえば、『不思議の国のアリス』に Mock Turtle が出てきますが、頭が牛で体が亀なのは、こういう理由だったのですね。

ミンスパイやプディングについて書こうと思っていたのですが、クリスマスが終わってしまったので、また別の機会に…。

ガトー ド ポムの作り方は、ミセス・クロウコムの動画でご覧いただけます↓

 

今年も残すところあと2日となってしまいました。

皆様、良いお年をお迎えください。

 

レシピの詳細はこちらの本に掲載されています。