ヴィクトリア時代の台所~19世紀英国の料理本を読む~

19世紀に書かれたイギリス料理の本を拾い読みしながら、当時の暮らしに思いを巡らせてみるブログです。

著者と挿絵画家について

ツイッター経由でお読みいただいた方々、どうもありがとうございます。同じように古いレシピに興味をお持ちの方が多くいらっしゃるようで嬉しいです。アクセス数が一気に増えて、ちょっと慌てております…。

あらためて、この料理本についてもう少し詳しく知りたいと思い、少し調べてみました (といってもウェブで検索しただけですが)。

まず、正式な題名は『Warne's Model Cookery with Complete Instructions in Household Management』になります (参考文献として追加しました)。著者は Mary Jewry という女性で、当時の有名な児童文学作家の Laura Valentine (1814–1899) の妹か姉。序章によると、私の所有している本は改訂版で、初版はなんと5万部売れたらしいです。初版は1868年発行と書いてあるサイトがありましたが、正確にはよくわかりません。古書店や大英図書館のサイトなどを探してみましたが、私の本の出版年はやはり不明で、同一と思われる版は見つかりませんでした。ある古書店サイトの写真を見ると 1879年版の装丁が最も似ているようですが、背表紙のフォントが違うし、出版社名も London だけでなく New York と記載されています。他にも People's Edition という156ページのダイジェスト版も何度か発行されたようです。私の本は728ページあり、全部で2835のレシピが掲載されています。その約半分はオリジナルのレシピだそうです。

f:id:uk_food_diary:20210810000258j:plain

目次のページ

挿絵を担当したのは Kronheim & Co. で、その創始者 Joseph Martin Kronheim はドイツ生まれの石版画家・木版画家。ここで興味深いのは、カラーの挿絵は「実物をもとに描かれた」と説明されている点です。イラストとはいえ、けっこう精密に描かれています (下図)。なんだかおとぎ話の世界の料理のように見えますが、本当にこんな飾りつけだったのですね。4と5のお菓子がかわいいけれども、なぜか索引には載っていなかったです。

f:id:uk_food_diary:20210810012854j:plain

挿絵の左下に J. M. Kronheim & Co. とある

とりあえず、今日わかったのはここまで。
これ以上の情報はウェブだけでは探せそうにないけど、19世紀の本なのは確かです。 

f:id:uk_food_diary:20210810014008j:plain

所有者らしき名前と、贈られたか購入された年が記されている