ヴィクトリア時代の台所~19世紀英国の料理本を読む~

19世紀に書かれたイギリス料理の本を拾い読みしながら、当時の暮らしに思いを巡らせてみるブログです。

ヴィクトリア時代のカレー料理

イギリス料理ではないのですが、カレーのレシピが載っていたのでご紹介したいと思います。

イギリスを含めヨーロッパ諸国では、17世紀頃にはすでにインドなどから香辛料を輸入していたようなので、19世紀にはカレーもそれほど珍しくはなかったのかもしれません。著者のアングロインディアンの友人直伝らしいカレーレシピでは、さまざまなスパイスを混ぜてカレー粉から作っています。基本的にはコリアンダーの種、ブラックペッパー、カイエンペッパー、ターメリックなどをすべて粉末状にして混ぜるだけなので、簡単に再現できそうです。 

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カレー粉のレシピいろいろ

 

カレーの材料には牛肉、鶏肉、豚肉、マトン、ウサギのほか、"cold calf's head" というあまり想像したくないものも。魚では鮭、タラ、カレイなどが使われ、海老やロブスター(豪華!!)のカレーもあります。そしてなんと、牡蠣のカレーも! 今では全然見ることも聞くこともないですが、昔はそれほど驚かれなかったのでしょうか? 牡蠣とカレーって合うのかな…?

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牡蠣のカレー
<材料>
牡蠣100個(!)、バター1/4ポンド、玉ねぎ1個、カレー粉大さじ3、水またはストック1/2パイント、ココナツ1個、酸っぱいリンゴ大1個、塩コショウ、小麦粉スプーン1杯、マロウ1個、トマト1個、レモン汁1個分

<作り方>
1. 牡蠣の中身を汁ごとボウルに取り出す。
2. バターで玉ねぎを炒め、カレー粉を加えて混ぜる。
3. 水またはストックを少しずつ加え、蓋をして沸騰させる。
4. 削ったココナツの実と、細かく切ったリンゴを加え、リンゴが煮崩れるまで煮詰め、小麦粉を加えてとろみをつけ、塩コショウし、5分煮る。
5. 9割がた柔らかくなるまで茹でて小さく切ったマロウとトマトを加える。
6. 牡蠣を汁ごと加え、ココナツミルクも加える。
7. 数分間弱火で煮込み、レモン汁を加える。
8. 皿に盛ったご飯と一緒に供する。

 

どなたか作ってみたら教えてください(笑)。 牡蠣を100個も剥くのは大変そうなので、1/4ぐらいの量でやってみると良いかもしれません(それでも25個!)。
これは元々インドのレシピなのか、それともイギリス人向けに考案されたレシピなのか? インドで牡蠣を食べるのかどうか知らないので、よくわかりません…。

そういえば、イギリスでは昔は牡蠣はそれほど高級品というわけではなく、観劇の休憩時間に軽食として食べられていたとか、刑務所の食事にも牡蠣が出されていたとか聞いたことがあります。どちらかといえば庶民の食べ物だったのかもしれません。

別の機会に、他のカレーのレシピも読んでみたいと思います。