ヴィクトリア時代の台所~19世紀英国の料理本を読む~

19世紀に書かれたイギリス料理の本を拾い読みしながら、当時の暮らしに思いを巡らせてみるブログです。

冷たいデザートの作り方:19世紀の製氷機

アイスクリームやシャーベットのレシピがあることから、食料品を冷蔵保存するだけでなく、冷たいデザートも食されていたことがわかります。でも、冷凍庫がないのにどうやって氷菓子を作っていたのでしょう? 

氷に関する章を読むと、この頃にはすでに氷は高級品ではなくなり、「1ポンドあたり1~2ペンスで、中流階級でも手の届くほど安価になった」と記述されています。さらに、新製品の「Piston Freezing Machine」(ピストン式製氷機?) なるものを使って、アイスクリームや氷を家庭でも作れるようになったとのこと。女性でも一人でらくらく操作できます、と謳われている機械がこちらです。

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使い方を要約すると、

  1. 砕いた氷、塩、水を2:1:1の割合で製氷機に入れる
  2. ピストンを上下に動かすと氷がかき混ぜられ、その動きによって容器が回転する
  3. 容器の中に差し込まれている攪拌棒によって、中に入っているクリームなどの液体が攪拌される
  4. 液体が凍ったら攪拌棒を取り出し、presser (重しのようなものでしょうか?) を入れ、しばらくの間押さえつけて固める

となります。現代のアイスクリームメーカーと似たような仕組みですね。容器はデザート型の役割も兼ねていたようです。真水を入れて氷を作ったり、ワインを冷やしたりするのにも使えると書かれています。

 

19世紀末のアイスクリームやシャーベットは、一体どんな味がしたのでしょう?

次回はレシピを読んでみたいと思います。