ヴィクトリア時代の台所~19世紀英国の料理本を読む~

19世紀に書かれたイギリス料理の本を拾い読みしながら、当時の暮らしに思いを巡らせてみるブログです。

はじまりは一冊の本から

 私の手元に、一冊のとても古い本があります。背表紙は剥がれかけ、ページの端々は黄ばみ、開くとバラバラになりそうなその本は、イギリス人の夫の祖母が所有していたもの。『Warne's Model Cookery』と題されたこの本の出版年は不明ですが、表紙をめくると所有者らしき名前と「1885」という書き込みがあることから、1885年以前に出版されたものと推測されます。

 料理本といっても、レシピだけでなく、食材の選び方や買い物のしかた等も記されていて、この一冊で食事全般にかかわる家事を学ぶことができるようになっています。昔は結婚のお祝いとしてこのような本をプレゼントしたそうなので、この本も夫の祖母の母か、親族の方に贈られたものではないかと思われます。

 時々ぱらぱらと拾い読みをするたびに新しい発見があり、とても興味深い本です。聞いたことのない料理や食材を見つけたり、大きなお屋敷での当時の暮らしぶりを想像してみたり。調理方法やキッチン道具の挿絵を眺めるのも楽しいものです。

 このブログは、そんな本のページを気の向くままにめくり、ヴィクトリア時代のイギリスの生活に思いを巡らせてみる、という企画です。季節折々の料理や習慣を通じて、19世紀末の暮らしを一緒に覗いてみませんか?

   

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100年以上も前に出版された料理本には歴史が染み込んでいるよう